老舗和菓子店・百花園が始めた、和菓子のケータリング「HIYORIKA」

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老舗和菓子店のケータリング事業とは!?

創業130年を超える、新潟市中央区営所通の老舗和菓子店“百花園”(ひゃっかえん)。こちらでは、昨年から新しく和菓子のケータリングサービスをスタートしています。

「和菓子のケータリングって何?」となるかと思いますが、通常よりも小さなサイズの和菓子をビュッフェスタイルで提供するもので、テーブルのスタイリングも合わせて行い、ウェディングや企業のパーティーから、個人宅で行われるパーティーまで、さまざまな要望に応じて華やかな和菓子の空間を演出するものです。

和菓子のスタイリングはスタイリストの山田志麻さんが監修。季節の花が添えられたテーブルは見た目も美しく、伝統の和菓子が軽快に鮮やかに彩られます。

現在34歳になる5代目の太田新太郎さんが始めたこちらの事業は、“HIYORIKA”という新たなブランドで、これまでの百花園とは異なる新しいイメージをつくり出しています。

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HIYORIKAホームページ

「若い世代にとって和菓子が身近なものでなくなってきていることや、和菓子職人を志す若手が少ないことを大きな課題と感じています。和菓子が若い人にもっと興味を持ってもらえるような新しい取り組みをしていく必要があると感じていました」と、HIYORIKAを始めた背景について話します。

 

北方文化博物館でケータリング

そんな斬新でユニークな和菓子のケータリングを、新潟県を代表する豪農の館“北方文化博物館”のイベントで行うという話を聞き、取材をさせて頂きました。

会場となったのは、北方文化博物館の敷地内にある宿泊施設“大呂菴”(だいろあん)。大正ロマンを感じさせる建物は和と洋の要素が融合。文化財にも指定されている建築物です。

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北方文化博物館の駐車場わきに大呂菴の門がある。
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広い庭に囲まれた木造建築。かつては伊藤家の住宅として使われていた。
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ゆったりとしたウッドデッキの天井には、簾が掛けられて涼しげな雰囲気。

今回のイベントは、“沢海文吉座”という新しい文化的な催しの第一回目。北方文化博物館で、さまざまな本物の文化を体験してもらうことを目的としています。

プログラムは、落語立川流一門の真打・立川志ららさんの落語を聞き、学芸員さんの解説を聞きながら庭園を散策し、その後にHIYORIKAの和菓子を頂きながら、スペシャルティコーヒーを味わうというもの。

最初の1時間は、見事な庭園を背景にしながらの、立川志ららさんの落語で始まります。古典落語「初天神」と「松竹梅」の2つの演目を、このような特別な空間で聞けるというとても贅沢な体験でした。

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大呂菴の広間の木製サッシ越しには豊かな緑が広がる。
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落語立川流一門の真打・立川志ららさん。
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笑い声が響く会場は心地よい一体感に包まれていた。

その後、北方文化博物館の学芸員の田中さんによる、通常の見学では入ることのできない、大広間の奥の庭園散策ツアー。庭師・田中泰阿弥が作庭した見事な回遊式庭園から大広間を見渡すという、こちらも贅沢な体験です。

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回遊式庭園から池越しに建物を眺める。

そして再び大呂菴に戻ると、サンルームではHIYORIKAさんの和菓子の準備が整っていました!

テーブルには、和生菓子や最中、どら焼き、水ようかんなど、15種類ほど色とりどりの和菓子が並んでいました。きれいに盛り付けられ、卓上には草花が添えられ、季節感を感じさせます。

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チャイグラスに入った抹茶味の水ようかん。
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“あんこ玉”。奥から、抹茶、イモジェンヌ、サクラ味の蒸しきんつば。
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“ひとくち最中”。粒あん、栗、求肥が入った一口サイズの最中。
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“ひとくちどら焼き”。北海道産の小豆餡をハチミツ入りの皮で挟んだどら焼き。
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和菓子の準備をする百花園5代目の太田新太郎さん。
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太田さんとスタイリストの山田さん。和気あいあいとした雰囲気でセッティングを進める。

スタイリングを監修する山田さんは「普段は広告写真のスタイリングの仕事をしていますが、和菓子が好きで楽しみながらやらせていただいています。普段と違う和菓子の雰囲気を楽しんでほしいですね」。

参加者の方に感想をうかがうと「見た目がすごく素敵でした。そして、甘さが抑えられていて、思ったよりもさっぱりとしているので、何個でも食べられそう。一つ一つが小さいので、たくさん種類が食べられるのもいいですね」。

百花園の太田さんは「まだまだ和菓子のケータリングの活動が認知されていないので、たくさんの人に知ってもらえるようにこれから頑張っていきたい」と話します。

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並べられた和菓子を一つ一つ順番に説明をする太田さん。

そして、和菓子と合わせて提供されたのが、バリスタの堀内広紀さんのコーヒー。アイスコーヒーは、果実のような甘さを感じさせる“モカ イルガチェフェ ナチュラル”と、香り豊かでほろ苦い“ダッチBLEND”の2種類。水出しでじっくりと抽出したものです。

ドリップコーヒーは、ブラジルとグアテマラとブレンドの3種類。農園名まで記載しているのが、堀内さんのこだわりのポイント。そして、「コーヒーは豆の鮮度がとても重要です。元の豆のクオリティによって味が大きく変わるので、焙煎後10日過ぎた豆は使わないなど、豆の管理に気を遣っています」(堀内さん)。

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お客さんにコーヒーの味の特徴や豆の産地について説明する堀内さん。

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コーヒーをサーブする際に、それぞれの豆の個性を丁寧に説明してくれるのも堀内さんの特徴。丁寧に豆を管理し、丁寧にドリップをして、丁寧に説明をしながら提供する。美味しいコーヒーを伝えていきたいという思いがあふれ出ています。

そして、「意外にもコーヒーと和菓子の相性がいい!」と、参加者の多くが驚いているのが印象的でした。

沢海文吉座の和菓子のケータリングでは、文化財の建物に庭、そしてスペシャルティコーヒーを一緒に味わえるというコラボレーションが実現していました。場によって毎回異なる雰囲気がつくり出されるのもケータリングの面白さ。それは、「和菓子はかくあるべき」、といった既成概念から解き放たれて、より自由に和菓子を楽しめるスタイルとなっています。

お茶を立てて頂く伝統的な和菓子もいいですが、伝統にとらわれずにさまざまなハレの場を盛り上げて、人々に笑顔を届ける。和菓子のケータリングはこれまでにない全く新しい体験をもたらしてくれます。

取材協力:北方文化博物館 、 沢海文吉座
百花園「HIYORIKA」HP:http://www.o-hyakkaen.com/hiyorika/

写真・文/鈴木亮平

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